『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』
2021/04/13
『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』という漫画を買った。後で知ったことだが、作画は『オナマス黒沢』を描かれた方だった。
ストーリーとしてはマジック:ザ・ギャザリングを通じたボーイ・ミーツ・ガールだが、随所に散りばめられた要素が年長から聞いていた要素ばかりでしみじみする。1990年代後半の社会現象を起こしたコンテンツの数々は、年齢的に後追いではあるけどとても好き。作品を通底しているだろうFF7(エフエフ派とファイファン派の話も出てくる)のほか、サクラ大戦、ナデシコ、宇多田ヒカル、タツロー、GLAY、タイタニックなど、新しくも退廃の予兆を感じさせる雰囲気をまとった作品が多く登場する。胎動という言葉が良いか。よく見ればヒロインの、黒髪ロング、容姿端麗、学校では優等生だが実はキツめの性格という要素がすでに懐かしい。
またコンテンツに夢中になってのめり込んでいる大人の溜まり場に向かう中学生という構図もいい。コンテンツを知って、無敵状態でオフ会に行き始めるのがちょうど中2くらいですね。厨二病という言葉がなく、そうしたものをレッテル貼りしない周りの大人が好き。作曲、東方、スマブラ、MMORPGなどを通じて自分もこういうローカルな場に行っていて、そこでソフトドリンクを飲みながら昔の話を聞くのが好きだった。Discordのときに同じようなことを感じた。こういう溜まり場って、今も変わらずあるんだろうか。
この作品は最後、見立てでは、おそらくFF7のクラウドとティファ、エアリス(一応バレット)のエンディング、約束の地をやりたいんじゃないかと思っている。
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自分はMTGはにわかのようなもので、何回か人のデッキを借りてプレイしたことがあるくらいだった。それでも楽しめたので、好きな人は買うといい。そういった性質上、おすすめはしづらいが。
1999年7月。ノストラダムスの大予言によれば、空から恐怖の大王がやってくる。この瞬間に終わってもいいという全能感と、この瞬間が少しでも長く続いてほしいという願望が同居する青春を、これでもかと伝えてくるような作品だった。