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20201028 母

2020/10/28

本日午前、母が逝去した。

6時まで論文を書いたあと眠りにつき、7時に緊急連絡で起こされた。身内に落ち着けと言っていたが、いま鏡で自身の顔を見ると、思い切りカミソリ負けした痕が残っており、自身の方が焦っていたことがわかる。

病院に先に着いて泣いていた姉を振り返ることもなく、肩肘を張り、拳を膝の上で握りながら固まっていた。が、そのまま母は亡くなり、手元には医師の死亡診断書が渡ってきた。苦しみはなかったらしい。もうちょっと長く生きられると思っていた。分かったのが7月末なので。

霊安室に遺体を安置している最中、病室の整理をした。わざわざフォーマットしたiPadは使われた形跡はなかった。着替えや調度類が小さなバッグ4こくらいに収まったのを見て、余計悲しくなってしまった。

家に帰り、布団の用意をする。玄関の横に靴が見えた。亡くなった人の靴を見たときに、その人の死を実感すると書いたのはブコウスキーだ。これは十分条件でしかなかった。靴だけでなく、歯ブラシやタンス、キッチンの観葉植物にも、何らかの残り香がある。

事務的なことを行っていたとき、母が生前、ラミーチョコレートが好きだったことを思い出して、ローソンに買いに行った。店内で他にも好きだったものがないか探し回っているとき、世界のあらゆるものが仄暗い可能性を秘めていることに否が応でも気づかされた。ついでに普段吸わないタバコを買った。

この文章を書いている現在、生前の友人が母の周りに集まって、手を合わせたり泣いたり信じられないと言っていたりする。自身はなんだかよく分からなくなってしまって、とにかく今日の色を忘れないようにしようという強い決意のような何かと、なんとか頑張っていかねばならないという漠然とした焦燥感が募っている。

たぶん疲れているんだと思う。母も家族も自分もよく頑張った。もしよければ、誰かちょっとだけ元気を分けてほしい。現時点でも、なんとかやっていけているし、時間が経てばなんとかなるんだろうけど、少しだけ励ましてほしい。

khosoda