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宇宙を騙る

2018/03/14

スティーブン・ホーキングが死んだ。彼を超える理論宇宙学者は、次いつ出てくるんだろう。

学校ではそれなりに天文物理を解かされたが、ケプラーがどうというよりも野尻抱影とか九曜とかそちらの方に興味が湧いてしまったために、天文少年を自称していたわりには数式に弱い。ただ、遠巻きに理論を眺めている限りでは、物理や天文学はもはや哲学の領域に突入していると言えそうだ。プランク定数、事象の地平線、量子効果とか、何が何だかわからないが、可観測でないものを探る人々は、どういう思いで向き合っているんだろうか。

人間は脳と社会に共有される秩序を保つために、宇宙に無秩序を投げかけているのではなんて感想を、『ホーキング、宇宙を語る』を読んだ時に抱いた。同時に、物理学者は可愛いと感じた。なんとかこの世を正しく記述しようと、延々と試行錯誤していて、それでもなお真理には辿り着かない。だからこそ、姿の見えない創造主たる何かへの挑戦をやめられない。恋する少女みたい。世の中には知らなくていいこともたくさんあるが、知らなくては生きていけない。その不器用な気持ちはちょっと分かる気がする。

そうした気持ちの総体が理論なのだとしたら、人間に希望が持てるかもしれない。獣にしては衰えすぎた五感に、爪を立てれば破ける肉体。自死さえ許容してしまう精神に、不完全な社会。それでも宇宙と殴り合うだけの力があるのだと思うと、握った拳を掲げたくなる。UFOらしきものが見つかったとCNNが報じていた。一部では侵略かなんて言われていたが、恐るるに足らない。遠方からはるばる、地球へようこそと歓迎したくなる。

まあ自分が宇宙人で、地球を侵そうとするんだったら、宣戦布告とかしないで、秘密裏に計画を進めるけど。だから、宇宙人の侵略を予期したりするのは難しいだろう。とにかく人間たちができることは、UFOなどが侵犯してきても撃ち落とさず、地球土産のケイ素でもプレゼントしてやることだろう。

khosoda