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葬送のフレーレンがおもしろい

2020/10/17

サンデーの漫画、『葬送のフレーレン』の2巻が先日発売されたので読んだ。作者のTwitterでお試しで読める。

魔王を倒したあとの世界で、長寿なエルフの魔法使いであるフレーレンが旅をする物語だが、かなり好み。

人間の物語は遅々としている。あってもエピローグで 「10年後ーー」とかやるくらいで、基本的には人間が感知しうる単位で時が刻まれる。であるから、よくある感想として、たとえば「マンガ全編を通じて、XXはこのように変化した」といったものになる。

これはそうした変化の積分をギュッと凝縮したような作品だ。数年ぶりに会った友人が痩せ細っていて、しかし当人はそれに気がついていないような時に感じる何かを、限定された紙幅に納めている。それは個人に限定されているわけではなくて、後継や師弟などの複数の関係にも敷衍されている。であれば、模倣したときに起こる何らかの微細な変化や、通時的な環境の変遷に伴う手段の形骸化などが見出されるのは当然で、それも精細に描けているのが見事だ。「儚い」が「果敢ない」とも表記できることを静かに思い出した。

セリフのテンポも好み。タイトルもいいですね。早く続きが読みたい。これも人間的な時間感覚なのだろうか。

khosoda